Blood Tear



優しい声音で言い微笑んだ彼に対し、クレアは何を言っているのかと鼻で笑う。


鎌を握りなおすと何の迷いもなく地を蹴った。



遠く離れたコウガとの距離が着々と縮まってゆく。



掲げた鎌の鋭い刃は煌めいた。


殺気に満ちた瞳で睨まれているのに、なのに彼は、何の恐怖の色も浮かべずに、只々優しく微笑んでいる。




 「あぁぁーー!!」


 「俺はお前を信じる!だからお前も俺を信じろ!クレア!!」


彼の言葉なんて、今の彼女には届かない。


差し伸べられた手にも気づく事などない。




彼の目の前に辿り着いた彼女は鎌の柄を握り締め、力の限り振り下ろす。


戸惑いも躊躇いも何も無い。



逃げようとも避けようともしない彼に、只本能のままに彼女は鎌を振り下ろした。