一滴の涙を流したクレアは巨大な鎌を手にし地を蹴った。
コウガとの距離を一気に縮めると、掲げた鎌を躊躇いもなく振り下ろす。
「落ち着け、クレア……今の君は混乱しているだけだ…そんな状態で的確な判断ができていない……だから、 少し落ち着こう、クレア……」
彼女を止めようと、動揺しながらも声をかけるコウガ。
後ろへ跳び後退しながら振るわれる鎌を交わす。
しかし彼女は鎌を振り続け、話を訊く気はないようだ。
「これ以上誰かを殺す前に…お願いだから……お願いだから私を…私を―――」
―――助けて……
消え入りそうな声だった。
だが、確かに聞こえた。
彼女の悲痛な叫びが。
彼女の助けを求める心の声が。
「クレア…君は……」
死にたいんじゃない。
殺して欲しいんじゃない。
助けて欲しいんだ。
心の闇から救って欲しいんだ。

