何が起こったのか思考がついていかない中、腕を引かれた彼は上体を起こす。
「無事ですか?」
「…あ、あぁ……」
顔を上げると、其処にはジークの姿があった。
駆けつけた彼は襲われているコウガを救う為、クレアの首の後ろに手刀を入れ気絶させたのである。
肩の傷に手を添えクレアへと目を向けると、彼女の傍にはシェイラの姿があり、既に治療に取りかかっていた。
「どうですか?」
「……」
ジークは治癒するシェイラに問いかけるが、彼女は無言である。
答える隙もない程、酷い状態だと言う事だろう。
静かに見守る中数分後、シェイラは深く息を吐くと汗を拭った。
治療が終了した彼女は次にコウガの治療へと取りかかる。
だが、彼はそれを止めた。
重体のクレアを治療したばかりの彼女。
体力をほぼ使い果たしている状態の彼女にこれ以上負担をかける訳にはいかない。
疲れた顔をする彼女に大丈夫だと微笑むと、彼女は申し訳ないと頭を下げた。
ジークは気絶するクレアを肩に担ぎ、座り込む2人に手を差し伸べる。
そして4人は無言でその場を立ち去るのであった。

