毛先から落ちてきた血が目に入り片目を瞑ると、彼女は彼の唇をペロリと舐めた。
口の端についた血を舐め再び見下ろす彼女。
感情のない真っ赤な瞳に見つめられ、異様な彼女に恐怖を覚えた。
この状態から抜け出そうと身を捻るが叶わない。
彼の上に乗る彼女は怪しく微笑み、今度は血の滲む肩へと顔を近づけた。
「っ……クレア…止め……くっ……」
傷口をゆっくりと舐めた彼女の舌が、塞ぎかけていた傷口に侵入してくる。
治癒しているという訳ではない。
彼女は只本能のままに血を求め、傷口に舌を沿わせる。
痛みと恐怖に顔を歪め、必死に抵抗を試みるが押さえつけられた彼は逃げる事ができない。
このままでは危険だと本能が言っている。
危険信号を鳴らす頭の中は混乱し、抵抗するのを諦めかけたその時、
「…っ……」
彼女は突然意識を手放し、彼の上から離れていった。

