顔を歪めながら太股に突き刺さる短剣を引き抜くと、短剣を片手に襲ってくるフリードの攻撃を剣で受け止める。
力強く地を踏み耐え、傷口から血が溢れ出る中無駄のない動きで繰り出される攻撃を何とか弾いて防ぐ。
痛みに顔を歪めた瞬間、フリードはコウガの横腹を蹴り更に正面から腹を蹴り突き飛ばした。
「ぐっ……!」
剣を地に差し重い蹴りに耐えたコウガは身を屈め血を吐いた。
一方フリードは短剣をクルリと回し、唇を舐めると笑ってみせる。
力の差に唇を噛み顔を上げると、異変に気づき目を見開く。
「…クレ…ア……?」
全身血だらけで動ける筈もない彼女。
なのに彼女はふらつく体でフリードの背後に回ると片手で握る鎌を彼の首に添えた。
その首を取る為、鎌を引こうと力を込める。
だが、
「まだ生きてたんだ……しぶとい奴……」
「ぐっ……うぅっ……!」
彼女の存在に気づいた彼は腹の傷を肘で突くと、振り返り彼女の首を片手で掴む。
鎌を手放し彼の腕に爪を立てるが、その手は放れる事はなく彼は更に力を込め締め上げる。
「そんな君に免じて、今日は退いてあげるよ。まだ生きていられる事を感謝するんだね、クレア」
掴んでいた首を放し、手の甲に残る爪痕から流れる血を舐めとると一度コウガを振り返り微笑み姿を消した。
苦しそうに咳をしながら鎌で体を支えていたクレアだったが、フリードの姿が消えた瞬間緊張の糸が切れたのかふらりとその体は倒れて行く。
「…クレア……!」
駆け寄ったコウガは彼女を支えるが、支えきれず2人は共に地に倒れた。
彼女を庇い背中を打ちつけたコウガは顔を歪める中、まだ意識のある様子のクレアは彼の顔のすぐ傍に手をつき見下ろす。
虚ろな真紅の瞳に見つめられ、ゴクリと唾を呑み込むと彼女はゆっくりと顔を近づけてきた。

