Blood Tear



 「私は…私はお前とは違う……お前みたいに血に狂ったりしない……!」


攻撃を交わし後ろへ跳んだ彼を追い、地を蹴り距離を縮めると鎌を振り下ろす。


力任せのその攻撃を彼は短剣で受け止めると冷たく笑ってみせた。




 「狂わない?冗談は止めろよ、赤目の死神。お前はあの時狂ったじゃないか。一族を皆殺しにしたあの時完全に」


 「っ五月蝿い!」


怒りを露わにし彼を突き飛ばすと再び斬りかかる。


しかし振り下ろされた鎌は難なく交わされ、彼は柄を踏み彼女の後ろに跳ぶと短剣を首に突きつけた。




 「あの時の君は綺麗だった。悲鳴をあげる暇さえ与えず肉を裂き、腕を切り落とし胴を斬る。噴き出す血をその身に浴び他人の血に染まる君の姿。その姿がこの瞳に焼き付いて離れない。もう一度見たくてたまらないんだ。だからさ、見せてよ、血に狂っ たあの時の姿を……」


耳元で囁きうなじを舐める。


鳥肌が立ち身を震わせると、地に突き刺さった鎌を引き抜きそれを振り回した。