出会したジークも連れ、男3人で村の中を歩くコウガ達。
一通り見回ってみたが、特に問題は無さそうだ。
家屋を失った者達もいなければ、食糧にもそれ程苦労していない様子。
「さぁ、戻りましょうか」
「あぁ、心配しなくても、この村は大丈夫みたいだ」
荒れているのではないかと様子を見に来たのだが、そんな心配必要なかったようだ。
クレア達の居る家屋に戻ろうと足を進めた所、前方を駆けていた子供が1人、石に躓き転んでしまった。
「…ぅっ…うぇぇーーん……」
「泣かないで、大丈夫だから、ね?」
起き上がる事なく泣き出したその少年、そんな少年の傍にやってきた女性は彼を起こすと優しく声をかける。
泥を払い頭を撫で優しく微笑む。
すると少年は泣き止み彼女に抱き付いた。
「偉いね、ユウリは強い子だ」
直ぐに泣き止んだ少年の頭を優しく撫でていると、彼女の周りには沢山の子供達が集まった。
子供達は彼女の名を呼び、遊んでくれと手を引き服の袖を掴む。
「人気者だな、お前」
「見てないで手伝って下さいよ」
「嫌だ」
「なっ……もぉっ!」
家屋から出て来た1人の男性。
子供達の輪の中に居る彼女を眺める彼は人事のように言ってみせる。
女性は彼に助けを求めるが、拒否され頬を膨らませた。
彼女が声を荒げたので、子供達は驚き彼女から離れて行く。
端から見れば、子沢山の幸せそうな夫婦。
しかしその幸せそうな2人を、近くで見ていたコウガ達は知っていた。
「お、お嬢様!?」
「?あら皆さん、御無事だったのですね」
声をあげたのはジーク。
その声に振り向いた栗色の髪をした女性はコウガ達の元へと駆け寄ってきた。
3人の様子を伺い怪我がない事がわかると柔らかく微笑む彼女はシェイラ。
以前のジークの主であり、今は彼の妹である。

