浮いた足を遊ばせるセルビアだが、何か思いついたのか反動をつけ起き上がる。
「そういえば、彼女も左目を負傷しておったな。我と同じよう、義眼を造ってもらってはどうだ?」
「彼女?」
提案するように言うセルビア。
そんな彼女の言葉に疑問を抱き訊ねてみると、彼女は前方へと目を向けた。
「エメラルドの髪をしたあの少女だよ」
窓辺のベッドで眠る人物を指差す彼女。
リオンの事を言っているようだ。
左目に眼帯をする彼は確かに女の子のような可愛らしい顔立ちをしている。
しかし彼は男であり、セルビアとは深い仲だった。
そんな彼の事さえも彼女は忘れてしまったのか。
最近知り合ったばかりの自分の事を忘れるのは仕方ないとは思っていたが、リオンの事まで忘れてしまうとは。
実の姉を目の前で失い、今にも崩壊しそうな精神状態の彼がこの事を知るのは避けたい所だ。

