森の中に佇むレンガ造りの小さな一軒家。
煙突のある赤い屋根に丸く小さな窓。
玄関の傍には【CAFE ASILE】と書かれた看板が。
煙突から立ち上る煙は風に乗り、辺りに料理の良い香 りを運んでいた。
その店の前にやって来た2人の男性。
「味はまぁまぁだが、食えねぇ事はないから」
灰色の髪の男性はおどけたように笑いながらそう言う と店の扉に手をかけた。
ドアを開けると、客を知らせるベルがカランカランと 高く鳴り響く。
ドアの隙間からは甘い香りが漂って来た。
男性が店に足を踏み入れたその時、勢い良く飛んでくる何か。
あまりにも突然だった為、男性は交わす事が出来ずそれは彼の顔面に見事にクリーンヒット。
「ってぇー!……うぐっ……」
猛スピードで飛んできた物体、フライパンが床に落ちると同時に叫ぶが、彼の叫びはずくさま苦しそうな声へと変わる。
「誰が不味いて!?誰が食えへんて!?」
顔を両手で覆う彼はいつの間にか羽交い締めにされて いたのだ。

