彼の鋭い瞳から逃げるように目を反らすと、箱の中身が床に転がって行くのが目に入った。
丸くて、白くて、1割程黒くて…
そして、所々に散らばる紅…
転がって行くそれはローグの足に当たり動きを止めた。
「これが何か分かるか?」
彼の声に身を震わせ、瞳を揺らしながら彼を見上げる。
彼は優しく微笑んでいた。
でもその笑顔からは冷たさを感じ、彼女は彼から目を反らす。
「お前の大切な馬の瞳だよ」
低い声で言うと彼はその眼球を踏み潰す。
グニャリと嫌な音がした…
耳を塞ぎたくなるような嫌な音…
何かから逃げるように目を瞑り、床に着いた掌を力強く 握る。
「これは罰だ。約束を破ったお前への」
こんな事をしたのは彼女のせいだと言うローグ。
彼はゆっくりと彼女に歩み寄る。

