私が車椅子に乗るようになったのは、6歳くらいになってからなの。
身体が小さいので、ベビーカーでも良かったからね。
でもそのせいか、私はベビーカーに乗っている普通の赤ちゃん、という風に見られていたのよ。
別にあんまり困ることはなかったみたいなんだけど、一番母たちが困ったのは水族館に行ったときのことだったわ。
その日は人が多く、ベビーカーはある場所に集められて、赤ちゃんは抱っこして下さいと言われたのだよね。
「障がい児なんですけど、それでもダメなんですか?」
と聞くと。
「はい」
と係りの人が言ったのだ。
若い人だったので意味がわからなかったのかもしれないんだけど。
仕方なく父が私を抱っこして見て回ったんだけど、大変だったみたい。
夏の暑いときだったからエアコンも弱くて、私は汗ビッショリになってしまったわ。
母はよく後で自分を責める人なんだよ。
「あのときにもっとわかる人に来てもらって説明すれば良かった!頭にくる!」
あの時のことを思い出す度に、そう言ってるわ。


