車椅子から見える愛


凉太は病気で亡くなったわけではない。
凉太を死に至らしめた犯人は逮捕された。その刑事裁判のために、私はいろいろと動かなくてはならないのだ。


検察庁に呼び出され、いったい検察庁とは何をするところなのか、被害者遺族である私たちが何故そこに行くのかさえわからない世界だった。


とにかく、犯人は憎いが、私の精神状態が、そういうことを冷静にそしてちゃんと考えることの出来る状態ではなかったのだ。


考えることが苦しい。
すごく疲れるような、これは説明の仕様がない。そういう目に遭わないとわからないのだから。


主人もなんとか頑張って検察庁に来たが、トイレに入ってずっと苦しんでいた。
もう主人は何もできない。私が一人で何もかもやらなくてはならないと思った。