かりんは癒してくれるが、完全に癒される日は来ない。
凉太の死から一ヶ月も経たないうちに、かりんの高等学校の入学式があった。
家の中で、かりんのそばにいて、しばらくじーっとしていたいのだが、そういうわけにはいかないのだ。
子供が死んだのに、自分は生きるために食べなくてはならないのだ。
このまま何も食べずに死んでもいい、などとはいかない。気持ちはそれでもいいと思うのだが、かりんもいるし人間は生きなくてはいけないようにできているのだ。
そのために外へと出ると、今まで凉太がいた場所に凉太がいないということがハッキリとわかるような、今までの幸せな世界とは全然違う世界が広がっているのである。
苦しい……
またあの異様な世界だ。
そう、父が癌になり、何故父だけ?何故うちの家族だけ?嘘だ!嘘だ!これは何か別の世界に紛れ込んでしまったのだ。
そう思ったあの日。
あの日と同じだ。
そしてそれより何億倍もの地獄の世界だ。
父が亡くなった後は、悲しみの中でも、私が頑張らなくてはという思いでやってこれた。
でも、今度は頑張れない。
頑張っても意味がない。
そんな感じなのだ。


