筋ジストロフィーの人は、20代くらいで亡くなってしまう人が多いということは、母も知っていた。
そのお母さんの子供は2人共筋ジストロフィー。
さすがの母もそのお母さんには何も言えなかったみたいだよ。
ーどんな気持ちなのだろうー
母は、とても明るくしているお母さんのことを理解することは難しかったみたい。
でもある日のこと、そのお母さんが泣きながら母のところへきたんだよね。
「悔しい!お兄ちゃんの治療はもうすることがないと医者から言われたから文句言ってきた!」
その言葉の意味を母はすぐに理解した。
もう後は死を待つのみ……。
母はかける言葉もなく、ただそばにいた。
同情はしない、できるわけもない。
そしてそのお母さんも、同情されることは嫌いだと言っていた。
「よし!終わり!」
そう言うとまた元の明るいお母さんに戻り病室に帰っていった。
障がいを受け止める。
それは人によっては死を受け止めるという現実もあるということに、はじめて母は気がついたのよ。
悲しい現実だね……。


