「怒ってねぇよ」



嘘、本当は怒ってる。


美珠じゃなくて、自分自身に。



「あ、ちょっとごめんなさい」



丁寧にお辞儀して電話に出た美珠は。



『え?嘘でしょ。あたし鍵持ってないんだけど』


『なら誰かに泊めてもらいなさい。ね?』


『けど服とかないし……』



どうやら鍵がなくて今夜は家に帰れないらしい。


ん?これチャンスじゃね?