『おい』
『あ?なんだよお前』
美珠ちゃんが涙目で私の名前を紡いで。
今美珠ちゃんに触れたら壊れてしまいそうなくらい儚くて。
『“俺”の女に手ぇ出してタダで済むと思ってんの??』
初めて口にした男っぽいセリフに、美珠ちゃんは泣きながら喜んでくれて。
こんなに喜んでもらえるなら、もっといっぱい言ってあげようって思って。
『“美珠”大丈夫?』
『いま……“美珠”……って』
きっと、私は美珠ちゃんと結婚はしない。
次に恋するなら、美珠ちゃんみたいな良い子も良いけど、ちょっと危険な毒牙を放つ、そう、ちょうど今の私のような人を選ぶんだろうって思ったの。
