~千煌side~
あれは暑い夏の日だったわね。
「他には望まないから海に連れてってくれませんか」なんて可愛らしいお願いをされて。
初めてバイクの後ろに女を乗せて。
『姉ちゃん一人か?俺たちと遊ばねぇ?』
『人を待ってますので』
美珠ちゃんがナンパについていくとは思えなかったし、大丈夫だろうと思って、熱中症対策のために自販機にお金を入れた。
まさにその時。
『ねぇ待っても来ないんだから行こうよ』
『きゃあ』
普段めったなことでは悲鳴をあげない美珠ちゃんの悲鳴が聞こえて、私は飲み物そっちのけで美珠ちゃんを助けに行ったの。
