「アリスの姉御、おはようございます」
「え?最さんどうして?」
「今日は若の代わりッス」
えへへと屈託なく笑ったかと思えば、最さんは男らしいその腕で、あたしの周りにスペースを作ってくれた。
「若みたいに壁ドンは出来ないッスけど……精一杯姉御のこと、護りますから」
その姿は真剣そのもので、優しすぎて。
元カレを思い出したんだ。
「ねぇ、最さん?」
「何スか?」
「どうして……みんな優しくしてくれるの?天使さんも、最さんも」
押し黙った最さんは、何かを決意したように一つ頷くと、その黒い瞳いっぱいにあたしを映して。
