『若!こんなところで油売ってたんですか?』
『るっせぇな。俺の勝手だろ』
デートの邪魔された若はいつも以上にお怒りのご様子。
隣の女は状況が解ってないようで、ポカンとしている。
『第一誰です、その女』
『すっげぇ見窄らしいじゃないッスか。若の好みとは真逆も良いとこです』
『えぇっと……?』
申し訳なさそうに歪む、愛人の顔。
本気で女を“見窄らしい”なんて思ってない、そんな顔。
解ってる。
そうやって思い込まないとダメになること。
『若、嫁探しも良いですけど仕事はちゃんとしてくださいよ』
『散れよ、お前ら』
完全にお怒りの若。
“見窄らしい、若の好みとは真逆の女”
本気でそう思い込まなきゃ。
若の女と解っていても。
イケナイ恋に溺れちまうから。
