「なぁお前、俺の女に手ぇ出してただで済むと思ってんの?」


「龍矢、だと?」


「へぇ。名前知ってただけでも褒めてあげるよ。さっさと消えな」



震えるあたしをめいっぱい抱きしめて。


伺うように顔を覗き込む。




「大丈夫か、チビ」


「えぇ、平気です」



あたしのことはチビ扱いで、名前なんて呼んでくれない。


何してる人なのかも知らない。



なのに何でさっきあたし……。




「ほれ、これ飲んで落ち着いたら帰るぞ」


「わ、美味しそう。ありがと」



実際、味なんて解んないくらい、あたしは締め付けられていた。