『おい、平気か?』
気付いたら、呼吸困難に陥っていたアリスに電車内で声をかけていた。
怯えたようなアリスの表情が一瞬、安堵の表情に変わって。
それが嬉しくて、次の駅で一緒に降りた。
アリスの最寄りじゃないのは百も承知だった。
可愛くて、少し生意気で。
でも年長者にはちゃんと敬語を使うアリスに、いつの間にか俺は堕ちていて。
『俺、龍矢。天使龍矢(あまつかたつや)。最初は電車内だけでも良いからさ、お前のこと護らしてよ』
そう最初は電車内だけでも良い。
いつかお前を全身全霊で愛し、護り抜くことを許してくれるのなら、な。
