『……美珠』



帰り際、煌姫ちゃんに初めて呼び捨てされて。


嬉しくて振り向いたら、痛そうな笑顔があって。



『シェルの石言葉、知ってるか?』


『ん?“美しい契り”、でしょ?』



答えたら、ふわり、煌姫ちゃんの匂い。


そこで初めて、自分が煌姫ちゃんに抱きしめられてるんだと知る。



『俺は、お前を抱いてやれない』



耳元で奏でられた、ほろ苦い、声。



……知ってたよ、最初から。


だって煌姫ちゃん、オカマでしょ?