「何で……?」
「有栖川美珠、19歳。だろ?」
いとも簡単に当ててみせた男にあたしは咄嗟に距離を取る。
怖い、また騙されたりしたら嫌だ……!
「怯えんなよ、何もしねぇ」
「っひっく……」
「……」
怖くて泣き出したあたしを、この男はどう思うだろう。
こんなんだから恋愛できないんだよ、あたしは。
「ゴメンな。こんなナリだから怖かったんだよな?」
けれどそれはあたしの想像とは違う返答。
強く優しく抱きしめられて、頭を撫でられて。
「俺、龍矢。天使龍矢(あまつかたつや)。最初は電車内だけでも良いからさ、お前のこと護らしてよ」
