「今なら見逃してやる。早く行け」 名残惜しそうに美珠を振り返る男。 そうして去っていく男と入れ違いで入ってきたのはー。 「初物、か。お前にしては珍しいよの」 いつも通りの和服に、カツラと見紛うほどの銀髪。 教科書から湧いて出たのかと思うほどに古い言い回し。 俺の苦手な甘ったるい香水の匂い。 そう、この女はー 「姉貴?!」