「え?」
「お前だよ。平気じゃないなら次で降りるか?」
「でも次の駅、あたしの最寄りじゃ……」
派手な男はクスリと笑ってあたしを見た。
結構遊んでる人なのかな、って感じてふと目線を下げたら。
開いた扉から無理やり降ろされて、あたしは最寄りでもなんでもない駅で降ろされてしまった。
「最寄りじゃないの、知ってるよチビ」
「な……!チビって失礼じゃないですか?」
「箱入りっぽいね、チビ」
近くにあった自販機にお金をいれて、ホットココアを買った派手な男は、あたしを振り向いて微笑った。
見た目からは想像できないくらい綺麗で、それでいて試すような。
「助けてくれたことにはお礼をいいます。けどあたしはチビって名前じゃ……!」
男は豪快に笑った後、真剣な顔であたしを覗き込んで。
いとも簡単に、こう言った。
「知ってるよ。アリスだろ?」
