～龍矢side～
美珠は悩んだ末に2つに候補を絞ったらしい。
1つは白の可愛らしいパンプス。
2つめは淡いピンクのハイヒール。
どちらも美珠に似合っていて、美珠を美しく引き立てる。
「どっちが良いと思いますか？」
こういう質問をしてくるってことは、たいてい答えが決まっているとき。
美珠の中ではもう答えは決まっているのだろう。
けれど、美珠の意見とは真逆だろうと、俺には勧めたいモノがあった。
「……ピンクのハイヒール」
「ふふふ。それじゃこっちにしますね♡」
意気揚々とレジにハイヒールを運ぶ美珠。
「この間ハイヒール壊した」って言ってたから、なんて。
そんなことを言った事実を、美珠はきっと忘れていることだろう。
