いつもはこの時間電車混まないはずなのに。


今日はめっちゃ混んでいて。



小さいあたしは人の波に飲み込まれて、呼吸もままならなくて。



助けて、って呟いても誰の耳にも届かなくて。




「うぅぅ、苦し……」




あたしの声に、ピクリと小さな振動が返ってきた。


誰か気づいてくれたのかも!


って喜んだのも束の間。



壁ドンされて、瞳を覗き込まれる。


整った顔立ちの、派手な男があたしを見つめている。


その事実にあたしは固まって。



「おい、平気か?」