「辞める? この前、あと二ヶ月続けたら社員昇格も検討してもらえるって言っていたのに?」 大輔が言うと百合は大きく頷き、「辞めてもいいの」と言った。 恭司が小さく溜め息を吐く。 「上野、ここで働く分は見舞い代だと思ってくれなくちゃ。バイトを辞めたら、収入が無くなるってことだよ」 「大丈夫。お母さんに言えば――」 言い掛けて百合は口を噤んだ。