綾が心の底からほっとしているのが百合以外の三人には伝わってきた。

妊娠がきっかけの結婚をしたのに、子どもを産めずに離婚した綾のことを恭司は知っていた。

今回のことは綾にとって、子どもは死産、そして二度と産むことが出来なくなった自分の過去が鮮明に思い出されてしまい、本当に怖かったのだ。

だが、事情を知らない百合には、綾の言葉が媚びているように聞こえてしまう。

そんなに親しくもないのに、大げさな言い方をする人だと感じた。


「静さん、しばらく入院なんでしょう?」

「うん、残念ながらそうみたい。出産まで絶対安静なんだって。ここの先生は丁寧だけどしっかり脅してくれちゃって」

「店のことは心配しないでください。俺が頑張りますから」

「わたしも出来るだけお手伝いします」


恭司に続いて、綾もそう言っていた。