百合は満足そうに微笑んでいる。 その顔を見るために、大輔は今日も全部食べるのだ。 彼女が恭司に片想いをしていることは、出会った頃から聞かされている。 片想いの気持ちが痛いほど分かるから、彼女の言う〈恭が振り向いてくれる時〉が来ることを願ってやりたいとも思っている。 でも、こんな時は上手く微笑んでやれない。 大輔はただ、残さないで食べることしか出来ないのだ。