上野百合の姿に一番早く気付いたのは静だった。

大輔たちのほうに向かっていく百合の表情を見て、静は手に持っていたグラスをカウンターの上に置き、急いで彼らのほうに向かった。

百合が右手を綾に向かって伸ばそうとした時、追いついた静が百合の肩を掴んだ。

肩を掴まれた百合が驚いた表情で振り返る。


「――百合ちゃん、来たんだ?」
 

少し上がった息で静が言った。