イラストに込めた想いを澄んだ瞳で語る河原綾の姿が蘇る。
恭司に知らせてやるべきだろう。
今、彼女がこの町にいることを。
大輔は携帯電話を右手に持った。
画面に不在着信が二件あった。
二件とも百合からだった。
河原綾がこの町にいることを百合が知ったら――?
大輔は大きく息を吸い込み、携帯電話をベッドの上に置いた。
「ふう」
百合には可哀想だが、やはり伝えるべきだ。
その上で恭司が百合にどう接しようとも。
七年前に時間を戻すことは出来ないことは分かっているが、七年前に河原綾がいた恭司の隣へ自然な形で戻してあげられたら、と大輔はぼんやりと考えた。