「恭がここを手伝っているって聞いたんですけど」

「居るわよ。恭くん、お客さんよ」


静に呼ばれて客と談笑していた恭司がカウンターのほうに振り返った。


「あれ、もう来たんだ。何か急用?」


百合の表情は静に見せたものとは違うものになる。


「恭のお手伝いをしようと思って、急いで来たの」


満面の笑みを浮かべる百合に、静は肩を竦めて恭司を見た。


「手伝いなんていいよ。俺と静さんで足りてるし。でしょ?」


恭司が笑顔で静に視線を向けると静も口角を上げて頷いた。