「ほんとうに、おじさんは変に一途なところがあって。相手が結婚してしまっていても、想い続けてる。――もうわかったでしょ。おじさんは恭くんのお母さんのことが、ずうっと昔から好きなのよ。だからずっと独身のままなの。まぁ、好き勝手やってきた人だし、理由はそれだけじゃないと思うけれど」

「まさか――」


信じられないと恭司は首を振った。

静は肩を竦めて首を横に振る。


「それって――、あの、うちの親父や母さんも知っている話?」

「うーん、たぶん高坂のおじさんは知らないんだと思う。おばさんはどうか、わかんないけど」


静の話を恭司はゆっくりと考えてみた。


「静さんがそんな話をするってことはさ、おやじさん、かなり悪いってことだよね。――手遅れなんじゃないよね?」


静は下唇を噛んだまま、答えなかった。