恭司もまた、自分の母親の偉大さを実感していた。

俯く綾の背中を擦りながら、恭司は自分の母の顔を見ると、母もまた息子の顔を見て、にっこりと微笑んだ。

(あなたが選んだ人なら、母さんも好きになれるから大丈夫よ)と言ってくれているようだった。

母が孫を欲しがっていたのはなんとなく分かっていた。

それを叶えてやれるのも一人っ子である自分しかいないことを恭司は知っていた。

だが、母はそれを決して押し付けない。

この大きさを自分も引き継ぎたいと思った。


「結婚式には俺も呼べよ」


圭吾が横から口を出す。


「どうしようかなぁ」


恭司がふざけた表情で首を傾げて見せると、圭吾が恭司の首に腕を回して「お前、俺のおかげでうまく行ったんだぞ」と恭司の頭をぐちゃぐちゃと撫で回した。