この人が恭司の母親なのだ。

おおらかで、笑い方も話し方も気さくな感じで、ふとした仕草が可愛いと綾は思った。

ほっとすると同時に、少し緊張している自分にも気付いた。

恭司を産んで育てた人。

彼の母親には自分はどう映るのだろうか。


「ところで、恭の後ろに居るのは、もしかするとあなたの彼女?」


綾の心中を察したかのように、恭司の母は綾を見てにっこりと微笑んだ。


「まさかここで紹介することになるとは思わなかったけど、河原綾さん。俺の彼女なんだ」

 
恭司は誇らしげに綾を母親の前に押し出した。