百合が店の看板を見上げていた視線を下ろすと同時に、建物の横から人が出てきた。 その人は看板を見上げ、店の名前を確認するように頷いている。 ショートヘアでジーンズを穿いていて、ベージュのカジュアルなハーフコートを着ていたその人は、少し嬉しそうに微笑んだ後、歩き出した。 百合はその顔をしっかりと覚えていた。 忘れたくても忘れられない顔だ。 七年前とは感じが違ってはいたが、あの時、この『メテオ』で恭司の隣に立ちライブを見ていた、あの河原綾だ。