「ちぇっ。今日のおはようは俺が一番に言うはずだったのに」

 
笑いながら恭司は綾に近付き、彼女の左の頬に手を伸ばす。


「昔の恭みたいに前向きで明るい高校生なのよ」


綾も微笑みながら、恭司の手に自分の手を重ねる。


「おはよう、綾」


恭司は綾の右頬に唇を当てた。

綾はそっと目を閉じ、もう一度「おはよう」と言った。