『私、恭のことが好きよ。もうずっと前から』 「はあ――」 「恭?」 目を開けると、少し頬を赤めて綾が心配そうに恭司の顔を見ていた。 「言葉を噛み締めていたんだ。やっと言ってくれた言葉を」 「なかなか言えなくて、ごめんなさい」 恭司は右手を綾の頬へ持っていく。 綾の頬に触れた恭司の手の上から綾が手を重ね合わせた。