高校生のときから、百合の時間は恭司が中心で動いているのかもしれない。

当時は告白することさえ、勇気がなくて出来なかった。

同じ学校でありながらも、クラスが違ったために、なかなか接点がなかった。

恭司のクラスの時間割を生徒手帳に挿んで、百合は持ち歩いていた。

恭司が年上の女と付き合っているという噂を耳にした時は、あらゆる雑誌を買って大人の女性を研究した。

卒業式の日にやっとの思いでボタンをもらいに行くと、恭司の学生服の胸のボタンはほぼ無くなっていた。

それでも思い切ってボタンが欲しいことを告げると、恭司は腕のボタンを百合にくれた。

それがさらに百合の心を恭司に向かわせた。