「綾、おやじさんに口説かれなかったか?」 恭司がニヤケて笑った。 圭吾は綾の肩に腕を回し、綾を自分の方に引き寄せる。 「お前より俺の方がイイ男だって誉めてもらったところだ」 圭吾が得意げな表情を見せ、一瞬驚いた綾は笑いだした。 「だから、そういうことから、早く引退しろって」 「まだまだお前には負けんぞ」 「わかった、わかった。ほら、おやじさんは入院中だからお茶にしたよ」 圭吾はうんざりと言わんばかりに目を大きくしている。