屋上の手すりに両腕を載せて空を仰ぎ、圭吾は目を細めながらたばこを吹かしていた。

恭司は綾の背中を押し、恭司の顔を見る綾に圭吾の後ろ姿を指して教えた。

一瞬戸惑いながらも、綾が恭司から離れて圭吾の背後に歩み寄る。


「こんにちは」


小さな声で綾が圭吾に声を掛けると、圭吾は振り返り、少し驚きながらも微笑んだ。


「こんにちは」


圭吾が紳士っぽく応えたのを見て、恭司が笑いだした。

恭司が居ることに気付いた圭吾は綾の肩に腕をまわし、綾を自分の方に引き寄せた。