静の希望とは異なるが、圭吾のところに連れていくのは、母より綾のほうが圭吾にとっても良いような気がする。 そう判断した恭司は、綾を連れて圭吾の病室に訪れた。 病室に圭吾の姿はなかった。 同室の人が恭司に気付いて右手で上を指し、たばこを吹かす真似をした。 恭司はにっこりと微笑み、一礼をして病室を出た。 「屋上に居るみたい」 綾に告げて、二人は屋上へと向かった。