「大輔さん、居なくならないでね。他の人のところに行ったりしたら許さないから」

「何言って――。他の人って」


百合の表情は真剣そのものだ。

今まで、こんな眼で俺を見たことがあるだろうか。

百合が大輔の背中に回した腕に力を込めてきた。

今までの百合との変化をひしひしと感じながら、大輔は百合の顔を見つめ返した。


「何を心配しているのか、よくわからないけれど、俺は昔のまんま、百合と出会ったときのままだ」

「本当に?」

 
その時、やっと大輔に百合の気持ちの変化が伝わってきた。

大輔は腕に力を込めてみた。

百合も更に力を込めて大輔のそれに応えてくる。