一晩中降り続いた雨も、翌日の火曜日の朝には上がっていた。 アスファルトの上にはまだ幾つもの水溜まりがある。 綾のアパートの部屋は、紅茶のいい香りで包まれていた。 綾が差し出したカップを恭司が受け取り、二人は微笑み合った。 「さきいかと――」と綾が言うと、「コーラ」と恭司が笑う。 「また一晩中語り明かしちゃったね」 七年前のことを思い出し、綾が肩を竦めて笑った。