「子供扱いだなんて――」


綾も恭司の後を付いていくようにカウンターへ向かい、腰を掛ける。


「子供扱いと一緒だよ。俺が何を言っても、何をしても動じない顔でかわしてた」

「だって、十歳も年が違うし、それに恭は未成年だったもの」

 
恭司は紅茶を二つ作り、一つのカップを綾の前に出した。


「今でも紅茶派?」

「うん」


笑いながら綾がカップを受け取る。


「恭も?」

「紅茶のほうが好きだけど、仕事でコーヒーを飲むことの方が増えたね」

「そっかぁ」

「コーヒーを飲むごとにおじさんになっていくような気がする」

「まさかっ」


綾が声を出して笑う。