「じゃあさ、もうひとつ訊くけど、その指輪は? 結婚しているようなもんって前に言ってたけど、誰と結婚しているようなもんってこと?」

「――お前、女みたいなこと訊くんだな」

「――そうかな」

 
女みたいなことか――。

その言葉が恭司には妙に可笑しく感じた。

そうか、そうなのかもしれない。

綾に出会うまでは自分の中にこういう部分があるとは思いもしなかった。

今は誰の想いに対しても敏感な気がする。

そんな自分に気付いて可笑しかった。


「――ずっと前にさ、メテオに俺が連れて行った女の人のこと、おやじさん、覚えてるか?」