圭吾の名前がある病室は四人部屋だった。 他の三人が談笑している中、圭吾はイヤホンを付けたまま目を閉じて横になっていた。 枕元には小さなCDプレーヤーがあった。 恭司は開いているドアを小さくノックして「失礼します」と病室の中へ入っていった。 他の三人が恭司に気付き、軽く会釈をする。 当の圭吾は恭司が来たことに気付いていない。 恭司は圭吾の右耳のイヤホンを抜いた。 圭吾が驚いたように目を開ける。 「お、おう。恭司か。何しに来た?」 「何しにって――。顔、見に来た」