康則の後ろに上野百合の姿もあった。

客席のほうから、カウンターに戻ってきた大輔も恭司に気付き、右手を上げた。

恭司はさり気なく綾の姿を探したが、見つけられなかった。

恭司の様子を見ていた大輔が近付いてきた。


「綾さんには、月曜日に来てもらうことになったからな」


大輔が小声でそう言った。


「あ、そうっすか。了解」


「静から聞いたぞ。感動の再会を果たしたんだってな」


康則が恭司の頭をくしゃくしゃにしながら言った。

その姿を後ろから百合が見ている。

百合の心は穏やかではなさそうだな、と大輔は感じていた。


「静さん、具合どうですか?」


恭司は康則の手を自分の頭からはがし、康則の顔を見た。