「こちらの意向は伝えているのに、辞めるというのなら仕方がない。制服はクリーニングに出してから、返却するように。今月分の給料は、来週中に取りにくればいい」 思いのほか、引き止めもされなかった。 今までは友好的な口調だった店長も、辞めるの一言で事務的なことを言っただけだった。 上手くいったと思いながらも百合は、自分という人間の価値や必要性はこんなものなのだ、と傷付いてもいた。